公益社団法人 計測自動制御学会 制御部門

非線形現象の特徴化に基づく制御理論調査研究会 第2回研究会

非線形現象の特徴化に基づく制御理論調査研究会では,下記の通り第2回研究会を開催します.本調査研究会の委員だけでなく,どなたでもご参加いただけますので,興味をお持ちの方の積極的な参加をお待ちしております.

開催日時・場所

日時2016年11月18日(金) 13時00分〜17時30分
場所大阪大学 吹田キャンパス 銀杏会館会議室B
〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-2
アクセス(リンク先「吹田キャンパス」地図内の5になります.)
建物内地図
参加費無料

プログラム

13:00〜14:00

石川 将人(大阪大学)

非線形制御による非自明ロコモーション

概要:ロコモーションの問題は非線形現象の宝庫である.生物やロボットなどの物体が環境中で移動する過程は,物体内部の能動的な運動(形状変化),物体と環境との相互作用による駆動力の発生,それを受けた空間内での配位変化などの段階からなるが,そのいずれにおいても強い非線形性を含みうる.これらは順問題として興味深い非線形現象であるばかりでなく,逆問題とみたときには機構設計・非線形制御系設計として興味深い問題を提示してくれる. 本講演では,著者らが「非自明な現象・非自明な設計問題」を意図的に追い求めて辿り着いた移動原理の実例とその数理について,屈曲と摩擦による移動(蛇行),揺動と転動による移動を中心に紹介する.また,そのような著者らの着想をも軽々と超える生物ロコモーションの多様性を題材に,そこから学んだこと・学ぶべきことについても論じる.

14:10〜15:10

忻 欣(岡山県立大)

劣駆動ロボットの制御系の設計と解析法

概要:非駆動関節を有する劣駆動ロボットは,アクチュエータの数が全駆動ロボットに比べ て少なくて,コスト,重量,信頼性の点で優れているため,ヒューマノイドロボット,医療ロボットなどへの応用が期待されている.しかし,強い非線形性があるため,その制御は困難な課題である.本講演では,劣駆動ロボットの受動性などを利用した制御系の設計・解析法に関する講演者の研究成果を紹介する.

15:20〜16:20

佐野 英樹(神戸大学)

境界入力に無駄時間要素を含む熱拡散系の安定化について

概要:境界入力に無駄時間要素を含む不安定な熱拡散系の,状態フィードバックによる安定化問題を取り上げる.このタイプの無駄時間要素は輸送方程式を用いて表すことができるが,その結果,元の系は輸送方程式と境界入力を有する熱拡散方程式がカスケード接続された形で表現できる.本講演では,PDEのバックステッピング法を用いることにより,ある放物型方程式の解および双曲型方程式の解を用いて,制御則が構成できることを示す.その際に,ターゲットシステムの設計には従来の関数空間の枠組み内での手法が有用である.また,半群理論を用いることにより,得られた制御則の抽象的表現を与えることができ,さらに,逆変換の連続性を示す上でも見通しが良くなることを示す.

16:30〜17:30

薄 良彦(大阪府立大学)

クープマン作用素による非線形力学系の解析と電力・エネルギーシステムへの応用

概要:クープマン作用素とは,非線形力学系の観測量(系の相空間上で定義されるスカラー関数であり,制御工学の言葉では出力関数に相当する)の時間発展を表す作用素である.非線形の微分あるいは差分方程式で記述される力学系に対して,クープマン作用素は無限次元であるものの線形となる.この性質を利用することにより,元の非線形力学系の解析や制御を線形作用素の観点から行うことが可能になる.現在までに,クープマン作用素のスペクトルに着目することで,線形システムに対するモード分解の一般化であるクープマンモード分解が提案され,流体,エネルギー,画像処理など,様々な分野での応用が進んでいる.本講演では,クープマン作用素に基づく非線形力学系の解析について解説する.さらに,講演者のグループが取り組んできた電力・エネルギーシステムへの応用として,「ビル内アトリウムの熱移動解析」「洋上風力の平滑化評価」について時間の許す範囲で紹介する.なお,本講演の内容は,Igor Mezic 教授 (UC Santa Barbara), Fredrik Raak氏,河野洋平氏,引原隆士教授(京都大)との共同研究である.

申し込み・問い合わせ先

本研究会への参加申し込み,およびお問い合わせは下記までお願いいたします.

  tsubakino (at) nuae.nagoya-u.ac.jp ← (at) は @ に変更してください.