公益社団法人 計測自動制御学会 制御部門

非線形現象の特徴化に基づく制御理論調査研究会 第6回研究会

— 非線形制御理論ワークショップin東京 基礎から最先端まで横断チュートリアル —

非線形現象の特徴化に基づく制御理論調査研究会では,下記の通り第6回研究会を開催します.本調査研究会の委員だけでなく,どなたでも事前の申し込みなくご参加いただけます(技術交流会は要申込)ので,興味をお持ちの方の積極的な参加をお待ちしております.

開催日時・場所

日時2018年12月1日(土) 10時30分〜17時20分(技術交流会は19時30分まで)
場所東京理科大学 神楽坂キャンパス 2号館2階 223教室
〒162-8601 東京都新宿区神楽坂1-3
キャンパスへのアクセス
キャンパス内マップ(リンク先地図内中央やや右側,緑色の屋根の建物です.)
参加費無料
 事前申込 17:20までのワークショップへの参加の事前申し込みは不要です.
17:30からの技術交流会への参加申し込みは終了しました

プログラム

10:30〜11:30

佐藤 康之(東京理科大学)

リアプノフ関数を用いた非線形状態フィードバック制御とその最適性・ロバスト性について

概要:制御リアプノフ関数(CLF)は近年の非線形制御理論において重要な役割を果たす関数である.特に,制御対象システムのCLFが得られていれば,システムの漸近安定化だけでなく,(逆)最適性やロバスト性といった望ましい性質を持つ状態フィードバック制御則を構成できることが知られている.本講演は,このような制御リアプノフ関数による制御則設計法について,基礎から丁寧に解説する.具体的には,CLFについて簡単に導入した後,ソンタグ型制御則・ノルム最小化制御則等のよく知られた安定化制御則を紹介する.その後,これらの制御則がある評価関数を最小化すること(逆最適性)を示すと 共に,安定余裕の意味でのロバスト性についても議論する.特に,セクタ余裕・ディスク余裕といったロバスト性が,線形システムに対するLQRの自然な拡張として得られることを明らかにする.また,講演者自身が取り組んだ発展的なトピックについても,具体例を交えながら時間の許す限り紹介する.

12:40〜13:40

関口 和真(東京都市大学)

線形化とフィードバック制御への活用の基礎と発展へのつながり

概要:非線形システムの線形化と,そのフィードバック制御への活用に大切な基礎事項 を解説する.また,発展として最近の新しい方法について紹介する.

13:50〜14:50

片山 仁志(静岡大学)

非線形システムのオブザーバの基礎とサンプル値制御での取り扱い

概要:線形系のオブザーバの考え方をそのまま非線形系に適応すれば,オブザーバの設計は推定誤差システムの安定化問題に帰着できる.しかし,一般に非線形系では推定誤差システムを陽に求められないため,非線形性の特徴の利用,線形化,状態変換等を利用することになる.このような基礎をまず簡単に解説する.この理論は主に連続時間系に対して展開されるが,現代のコンピュータの利用による制御系(サンプル値系)では,サンプル点観測からサンプル時刻の不可観測な状態の推定値が分かれば十分な場合も多い.この場合は,連続時間系のオブザーバ設計に必ずしも固執する必要はない.そこで,近似モデルに基づく非線形サンプル値制御理論と離散時間オブザーバの構造の利用により,移動体のダイナミクスを含む機械系の非線形サンプル値系に対する簡素なオブザーバ設計も紹介する.

15:10〜16:10

小口 俊樹(首都大学東京)

非線形むだ時間システムの安定性と同期問題

概要:実システムの多くにむだ時間が存在することはよく知られており,むだ時間を持つシ ステムに対する様々な問題が,従来から多くの研究者により研究されてきている.近年,Industry 4.0 やIoT (Internet of Things) 技術に象徴されるように,我々の身の周りの様々なものを結合し,大規模なネットワークシステムを構成する動きが加速しているが,システム間の結合に生じる伝送遅延を考慮した解析・設計をするためには,むだ時間システムに対する知識が必要となる.ここでは,むだ時間システムに対する安定解析手法の基礎について紹介したのち,伝送遅延が存在する結合システムにおいて生じる同期問題について概観する.

16:20〜17:20

山下 裕(北海道大学)

フィードバック制御屋が考える「賢い」制御

概要:インテリジェントな「賢い」と思われている制御は,ダイナミクスをあまり考えない枠組みで考えられたり,機械学習を通して実現されることが多いように見受けられる.しかし,講演者は一人のフィードバック制御屋として,ダイナミクスを考えたうえで全てを数学的なフィードバックの形にしたいという希望を持っている.本講演では,状態フィードバックの枠組みで複雑な要求をこなす制御を目指して得られたいくつかの結果を紹介する.

問い合わせ先

本研究会に関するお問い合わせは下記までお願いいたします.

  tsubakino (at) nuae.nagoya-u.ac.jp ← (at) は @ に変更してください.